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教育のグローバル化最前線 留学支援に積極的な大学等の最新情報を取材
04 中央大学 武石智香子副学長

グローバル化が加速する未来に向けて、
社会で通用する素養を養う

「實地應用ノ素ヲ養フ」を建学精神とし、創立以来、社会に通用する教育の最先端を目指して様々な施策を実施してきた中央大学のグローバル化の取り組みについて、武石智香子副学長に伺いました。(以下、敬称略)

グローバルに通用する人材を育成する

Q:中央大学のグローバル教育に関する方針について教えてください。

武石:2015年秋、新たに策定したChuo Vision 2025において大学のグローバル化を重点施策の5本柱のひとつに据え、「グローバル・プロフェッショナルの育成」を目指した取り組みを進めています。

Q:「グローバル・プロフェッショナル」について、先生の考え方をお聞かせください。

武石:大学の施策を語るのに個人的な話をするのは気が引けますが、聞いてくださった方には、パーソナルな体験が一番わかりやすいと言われます。
私は父の仕事の関係で、子供の頃、インドのコルカタで暮らしました。父は経理で、英語ができたわけでもなかったのですが、就職で田舎から都会の大企業にいわば「打って出た」ガッツがかわれたのでしょうか、海外生産を行う異国の地に赴任することとなったのです。
インド渡航前に重役のお宅に呼ばれて励ましを受けました。職位が父よりはるかに上の人とも「さん」と呼び合う風土を父は「民主的」と表し、社内で個人的な利害関係や派閥を作らないための慣行があることも教わりました。カーストの残る国に進出した波紋はいかばかりだったでしょうか。
私の通った「カルカッタ日本人小学校」の図書室には企業から寄付された子供用の全集が揃っていました。そんな企業の善意に囲まれて育った私は、産学連携に特別な想いがあります。
当時の日印の文化差は大きく、時間感覚が異なる上に、誤解に基づく突然のストライキ等もあったようです。当時の工場は残っていませんが、大人たちが懸命に文化差を乗り越えようとしていたその後ろ姿を見ていた私たちから、 また次の世代へと、連綿とつながっているものがあります。
私の第二の国際体験は、企業派遣の夫について米国に行くことになったことです。私も一念発起し、米国で社会学の博士号をとるに至りました。専攻の同期は10人、そのうち米国人は3人だけで、Minority以外は内1人でした。Minorityでも外国人学生でも、まったく分け隔てのない学生生活でした。
異文化のギャップに限らず、田舎と都会、職位や派閥、MinorityとMajority、そんなすべてのギャップにめげない人材を育成したいという想い。男女雇用均等法以前に就職した私が米国の大学に育ててもらったように、何らかのギャップの中にいる世界の学生に、これまで様々な境遇の学生を育ててきた中央大学の教育力をもって、人生に新たなチャンスを与えたいという想い。これらの想いから、日本の学生も世界の学生もギャップを超えてトビタってほしいのです。

2025年までに年間2,200人の学生を留学させる

Q:中央大学が派遣する留学生は年々増加をしていますが、その要因は何ですか。

武石:中央大学では、ここ数年で学生の留学に関する意識は徐々に高まっており、年々増やしている協定校数に応じ、留学生数も伸びています。今後は学期制度の見直し、奨学金制度の充実、帰国学生のキャリア支援を進め、学生の海外派遣は2025年までに年間2,200人への拡大を目指しています。

Q:学生が留学に挑戦するうえで、ハードルとなっているものは何でしょうか。

武石:留学をしたい学生にとって、ひとつのハードルは語学力です。留学希望先からは相応のスコアを求められます。中央大学ではこの課題解決のため、英語であれば、TOEFLやTOEICといった語学能力判定試験の対策講座を充実させています。学生の意識の高まりもあって、年間の受講生は2,000名以上です。英語を担当する教員が中央大学独自のノウハウを用い授業を行っているTOEIC講座では、受講の前と後で得点を100点以上伸ばす学生が毎回およそ4割います。今後は附属高校からの内部進学者や指定校推薦で入学する生徒に対する接続教育でもこの実績を活かしていければと考えています。

各学部が企画・運営する専門に特化した独自プログラムが充実

Q:中央大学では学生向けに、どのような留学プログラムを用意しているのでしょうか。

武石:中央大学では全学的な留学プログラムに加え、学部毎の独自プログラムが充実しています。各学部が、目指す人材育成の観点とカリキュラムに沿って、企画・運営しているのが特徴です。
例えば法学部では、多文化主義が進むオーストラリアで、人権や市民社会を学ぶ「アクティブ・ラーニング海外プログラム」を実施しています。「先住民の権利」「難民・移民」「ジェンダーと性的多様性」の3つを事前授業で学び、現地でのフィールドワークを通じてリサーチを行い、最終的にプレゼンテーション(英語)とレポート(英語)に纏めます。経済学部では夏季休業期間中に海外インターンシップを行っています。在外企業等での短期実習を行うのはもちろんのこと、授業期間には、各分野で活躍中の実務家教員による授業が行われ、グローバル化が進むビジネスの場で求められる実践的なスキルを身に付けることを狙いとしています。現在、実習はマレーシアのペナン州観光局での「国際観光コース」、英国の現地企業での「海外ビジネス現地企業コース」、米国の日系企業での「海外ビジネス日系企業コース」の3コースを用意しています。

Q:その他に取り組んでいる施策はありますか。

武石:中央大学内での学生生活の中でも、グローバルなコミュニケーションの場を整えています。多摩キャンパス内ではG2 (G Square)という異文化交流の拠点を設けています。留学情報の提供だけなく、外国人留学生が母国語を教えたりする自主的な語学学習グループを使ってディベートを行ったり、遠隔で国際交流を行うCross Border Exchangeなど各種のイベントを随時開催しています。また、国際寮では1ユニット3室を中大生と交換留学生でシェアしています。多様な文化的背景を持つ学生が一つ屋根の下で生活を共にすることで、国際感覚やコミュニケーション能力を育むことができます。

Q:今後の取り組みに関して教えてください。

武石:短い4年間の大学生活の中で、どのタイミングで留学するのかはとても重要です。もっと多くの学生に早い段階で中央大学の留学制度について知って欲しいと考えています。また、資格取得を目指す学生や理工系の学生にとっては、中抜け的に留学に行くことがまだまだ難しい環境であるため、彼らにも実施可能な留学プログラムを拡充することが必要だと考えています。今後も学生が留学という大きな挑戦ができる環境と気運づくりを進めていきたいと思います。

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