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02-1  東北大学 高度教養教育・学生支援機構グローバルラーニングセンター 水松 巳奈先生

国立大学で初の試み!
入学予定の高校生3年生を対象にした海外研修がスタート

平成24年度より「グローバル人材育成事業」に、平成26年度より「スーパーグローバル大学等事業 スーパーグローバル大学創成支援(トップ型)」に採択された東北大学。学内でも、東北大学グローバルリーダー育成プログラム(以下、TGLプログラム)をスタートし、教育と研究のグローバル化を進めています。その一環として、昨年度からスタートした「入学前海外研修プログラム」について、東北大学 高度教養教育・学生支援機構グローバルラーニングセンターの水松 巳奈先生にうかがいました。

入学前からの海外体験で得られること

Q:昨年度からスタートした、入学予定者を対象とした「入学前海外研修プログラム」、国立大学では初の試みだそうですね。実施に至った背景を教えてください。

水松:本学はもともと国立大学で最も協定校が多く、32か国・地域、195機関と協定を結んでいます(2014年11月25日現在)。研修先のアメリカ・カリフォルニア大学リバーサイド校(以下、UCR)とは1999年より大学間協定を結び、多くの東北大生がUCRに留学しています。
また、本学ではAO入試に力を入れており、毎年200名前後の学生がAO入試で合格していることから、入学前教育には力を入れてきました。
これらの背景や、世の中のグローバル人材へのニーズの高まりなどから、海外での入学前研修が実現するに至りました。

異文化体験のプログラム。フィールドトリップで、カトリック布教教会の一つ、San Juan Capistranoを訪ねる

Q:この研修に参加することによって学生が得られる力、メリットとは?

水松:(1)グローバル社会で求められる広い視野を持って大学生活に臨める、(2)入学前から学部を超えて意識の高い仲間と出会える、(3)東北大学生に必要なスキルを一足先に学べる、(4)海外留学に必要不可欠なスキルを一足先に学べる、(5)東北大学グローバルリーダー育成プログラムについて理解でき、入学後にはTGLポイントがもらえる、の5点を目標として掲げています。TGLポイントとは、TGLプログラムの一環で、グローバルな学びを積極的に行う学生にポイントを与える制度のこと。学生の学びのモチベーションアップのために行っているものです。

「海外に通用する研究者になりたい」「英語で学会に参加したい」など高い参加意識

Q:どのような学生が応募されるのでしょうか。

水松:応募の際には、500文字程度で志望動機を書いていただきます。その内容を見ると、「海外でも通用する研究者になりたい」「外交官になりたい」など意欲の高さがうかがえます。英語力が高い人、海外経験がある人もいますが、どちらかというと少数派。むしろ海外経験がないからこそ入学前からトライしたいという人が多いと感じます。男女比では7:3で男子学生のほうが多いです。

Q:高校生を預かることで大学としても不安が多いと思いますが、どのような対策を立てていますか。

水松:その点は、本プログラムを実施する上で一番問題になりました。研修先のUCRには東北大からの留学生が多く、また現地に東北大センターがあって日本人職員が常駐していることが一つの安心材料ではないかと思います。
渡航前には、事前研修を数回行い、研修の心構えを確認したり目標設定をし、しっかりと意識を高めてから研修に臨んでいます。

大きな目的は、英語コミュニケーション力向上と異文化理解

Q:研修の内容や特徴はどのようなものですか?

水松:研修期間は2週間。学習の大きな柱は(1)海外留学で必要不可欠な英語によるコミュニケーション力やプレゼンテーション力を身につけること、(2)異文化理解の二つ。アメリカ・カリフォルニアという地域は、アフリカ系、ヒスパニック系、ネイティブアメリカンなどさまざまな文化が混在するところ。異なる文化圏の人から話を聞いたり、異文化体験のできる施設が豊富なので、異文化理解には最適な環境です。
授業は少人数のアクティブラーニング形式で、午前中には英語力ブラッシュアップ講座、午後には文化体験やフィールドトリップが中心です。現地の大学生との交流機会も多く、とても仲良くなって帰国後も交流を続ける学生も多いです。
研修の最終日には、英語で学習成果をまとめてプレゼンテーションをしますが、UCRに留学している先輩の東北大生にも引けをとらないプレゼンをする学生もいます。2週間でここまで到達できるのは驚きです。

学習成果を英語でまとめ、最終プレゼンテーションではグループごとに全員がすべて英語で発表をする。

海外への壁がなくなり、他の学生へもよい影響が

Q:成果や手ごたえはどのようなものですか?

水松:学生たちからは「海外に行くことに対する壁がなくなった」「世界に挑戦することって思っていたほど難しいことではないと思った」という声が挙がっています。その証明にもなるかと思いますが、実は第1回参加者の多くが、その後も短期研修や観光などで海外に出かけているんです。
また、昨年の参加者から刺激を受けて、「自分も海外に行きたい」という学生が増えたり、AO入試の志望動機の一つに入学前海外研修に参加したいことを挙げる学生が出てくるなど、当初期待していた以上の反響に驚いています。

最終日、教室で先生たちと記念撮影。この研修をきっかけに、海外に出ることが怖くなくなったと学生たち。

Q:今後の展開を教えてください。

水松:事前研修の機会を増やして、学生たちの意識をより高めてからプログラムに臨むこと、プログラムのさらなる充実は当然検討していることです。
学生たちの反響も大きく、15人という定員の枠を増やしたい反面、少人数指導だからこそ可能なプログラムでもあるので悩ましいところです。研修先の国・地域、大学を拡大するなど、今後の課題となると思います。

<入学前海外研修の概要>2015年度

留学期間: 平成27年3月8日(日)~平成27年3月22日(日)
募集期間: 平成26年12月3日(水)~平成27年1月6日(火)
留学先: カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)
対 象: 平成27年度AO入試II期・科学オリンピックにより入学が決まった高校生
定員数: 15名
参加費: 約35万円(プログラム費用、宿泊費、渡航費、海外保険料込。うち8万円を東北大学基金より負担

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「スーパーグローバル大学等事業 スーパーグローバル大学創成支援」

世界レベルの教育研究を行うトップ大学や、先導的試行に挑戦し我が国の大学の国際化を牽引する大学など、徹底した国際化と大学改革を断行する大学を重点支援することにより、我が国の高等教育の国際競争力を強化することを目的としている。タイプA(トップ型:世界ランキングトップ100を目指す力のある大学を支援)と、タイプB(グローバル化牽引型:これまでの取組実績を基に更に先導的試行に挑戦し、我が国社会のグローバル化を牽引する大学を支援)がある。

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