サイエンスの知識と智恵を持ち、
グローバルな視点で活躍できるグローバル・リーダーを育成

横浜サイエンスフロンティア高校は、先端科学技術の実験や国際交流・海外研修などを通して、世界で幅広く活躍する人間の育成を目標にしています。文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)に相次いで指定され、その取り組みが注目されています。今回は、横浜サイエンスフロンティア高校のグローバル人材育成について、詳しくうかがいました。

グローバル人材育成の取り組みについて
Q:横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(以下YSFH)では「グローバル人材育成」についてどのようにお考えですか?
YSFH:本校は「サイエンスの知識と智恵を持ち、グローバルな視点で課題解決に臨む人材」を育成することを目標にしています。生徒が身に付けるべき基本は、サイエンスの十分な素養と論理的・合理的思考力であり、またコミュニケーション力です。「グローバルリーダー」としては、自ら考え、学び、見極めようとする「探究心」と理想に向かう「高い志」をもってほしいと考えています。
Q:YSFHでの国際人育成の取り組みの全体像について教えてください。
YSFH:スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定により認められた本校独自の教科「サイエンスリテラシー」と今年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定より始まった「グローバルスタディーズ」を軸に、知的・論理的で地球規模の世界観を持った人格形成を目標として、様々なプログラムを展開しています。
具体的な取り組みについて
Q:具体的に進んでいるプログラムの中で特筆すべきものがありましたら詳しく教えてください。
YSFH:毎年、海外の高校生、国内の連携校の高校生を招待して、本校でysfFIRST(国際科学フォーラム)を開催しています。隔年で、本校のスーパアドバイザーでノーベル化学賞受賞者であるハロルド・クロトー博士(フロリダ州立大学)に来日していただき、直接指導をしていただく機会も作っています。

ysfFIRST(国際科学フォーラム)でのプレゼンテーションの様子。英語で発表を行った。

2年次生全員は、マレーシアの連携高校を訪ねて、英語での課題研究発表を行います。本校生徒は課題研究を必ず、英語で説明できるようにしなければならないことが特徴です。
さらに高度な取り組みとしては、選抜によって米国ワシントンDC(現地高校、NASA等での研修)や英国(ケンブリッジ大学等)に生徒を派遣しています。これらの研修はSSH指定により可能になりました。

選抜された生徒たちが、米国 ワシントンDCの高校に派遣され、現地高校の授業を体験

また、バンクーバーにある姉妹校(デイビッド・トンプソン・セカンダリー・スクール)との交流プログラムを続けています。毎年受け入れと訪問(派遣)をしています。共に20人、期間は8日間です。

カナダ バンクーバーにある姉妹校との交流プログラムのようす

参加した生徒からは次のような感想が挙がっています。
【生徒の感想】
「日本を離れることで、日本の良いところや課題を改めて発見することができた。」
「異なった価値観とお互いを認め合うことが大切であることを学んだ。」
「バンクーバーでの一週間は自分の将来を変えた。事前学習の段階でのプレゼンテーション作りでは、練習を重ね、生じる問題を解決し、自分の持てる全ての力を発揮することができた。世界には本当に色々な人がいるから面白い。これからの世界ではその人の所属するグループ(人種)などではなく、個人を見ていく必要があると感じた。温かく迎えてくれたディビッド・トンプソン校の生徒達など、この研修旅行を支えてくれた全ての人々にとても感謝している。私はこの研修をきっかけに世界にはばたいていける人間になります。」
教員の反応について
Q:教員の取り組みや反応はどのようなものですか。
YSFH:本校の教員の取り組みでの特徴は、数学科や理科の教員も海外プログラムの引率を行うことです。もちろん多くの場合、英語の教員とともに渡航しますが、海外コンテスト等の場合は直接指導できる教員が必要ですので、引率者には高い専門性が必要になります。
【数学教諭の感想】

シンガポール国際数学チャレンジでの、
歓迎セッション(左)と、審査(右)の様子

シンガポール国際数学チャレンジ 代表生徒を引率した数学科教諭のまとめ
「国際数学チャレンジ(以下SIMC)に参加してみてまず、各国の生徒の基礎学力の高さを感じた。SIMCの問題は、大学レベルの知識を多く使うわけではないが、高校までに学習する範囲の確実な基礎学力とプラスアルファ、今回においては確率分布、統計学の深い知識を用いて解くことになる。シンガポール国立大学付属理数科高校では、日本では大学で学ぶような内容まで学んでいる。もちろん国によっては日本のレベルに及ばないカリキュラムを組んでいるところも教員セッションで見受けられた。また、トップクラスの結果を出した高校も、その国の一部の学校であり、一般的にはそのようなレベルに到達している学校は少ないのが現状かもしれない。ただ、日本の公立学校で、SIMCにおいてトップを狙うには、生徒の基礎学力レベル、教員の指導力、ともに厳しいものを感じたのは事実である。今回の引率では、現状の数学教育の問題点を再確認するとともに、自分の視野を広げることができた。」
生徒たちの反応について
Q:生徒の反応はどのようなものですか。
YSFH:マレーシアでの研修では、2年次生全員が連携高校で発表するほか、20名の代表生徒をペナン島のマレーシア科学大学に派遣し、課題研究の発表を行います。
【生徒の感想】
2年次生男子
「歴史を感じる建造物や綺麗な海景色、ペナン島は魅力的なところでした。そして発表する大学の講堂も立派でした。リハーサルなどの時間が全然足りないと言いますが、何より大切なのは、自分が積み上げてきた研究結果をどれだけ伝える気持ちがあるか、だと思いました。私は本当に英語が苦手ですが、同級生達のおかげで何とかなった気がします。聴衆からの質問は聞き取りにくかったのですが、何度も聞き返して、仲間全員が電子辞書を使ったり話し合ったりして考え、答える。そういった連携がとてもありがたかったです。」
2年次生女子
「私は実験のテーマが既に完成していたので、パワーポイントも原稿も早く作り終えることができ、準備で大変だと思うことはありませんでした。本番は全く緊張せず、リラックスしてプレゼンをしました。日本でプレゼンするよりもマレーシアの人達は反応がいいのでやりやすかったです。何度か覚えた原稿を思い出せず止まってしまったことが反省点です。もっと練習して完璧に覚えるべきでした。最初は戸惑いもあったペナンでの研修でしたが、今では行って良かったと心から思っています。この貴重な体験が今後生かせるような取り組みをしていこうと思います。」
実施にあたっての苦労、成果、今後の課題
Q:実施にあたって苦労されているのはどのようなことですか。
YSFH:海外に多くの生徒を派遣し、経験を積んでもらうことは、確実に生徒の成長につながります。生徒は準備や現地での英語でのコミュニケーションで苦労し、努力をすることで必ず成果を挙げてくれます。しかしながら、公立の高校で全員が海外で研修をしたり、多くの海外コンテスト等に出場したりするためには「渡航費」の問題があります。本校では普段から勉強や研究そして国際交流に熱心な生徒に対して、渡航費を支援する制度を充実させることで、一人でも多くの生徒がグローバルな環境で学べるように工夫をしています。
Q:これまでの成果はどのようなものですか。
YSFH:
(1)原則として生徒が外部で発表するときは、英語で発表を行うことが徹底できていること。
(2)海外での発表やコンテストに参加の際、または国内の英語での発表会の際に積極的に英語で質問することができること。
(3)ホームステイ等で海外の生徒を受け入れた際に、温かく親切に接することができること。
以上大きく3つです。
Q:今後の課題は何ですか。
YSFH:本校は、海外と積極的に交流を行っていますが、長期留学生の受け入れについてはまだ事例が少ないです。今後は留学生が各年次に複数人程度在籍するような環境をつくりたいと考えています。
Q:「スーパーグローバルハイスクール」に選ばれたことについてどのようにお考えですか。
YSFH:本校の基軸である「サイエンス」が、「理系」「文系」の狭い枠にとらわれないものであることを理解していただけたと考えています。そのうえで、「スーパーグローバルハイスクール」としての先進的なモデル校であると呼ばれるように、何事にも果敢に挑戦していきたいと思います。
メッセージ
Q:海外で学ぶことに興味がある生徒や保護者へのメッセージをお願いします。
YSFH:「サイエンス」は世界共通語です。サイエンスを通して持続可能な地球の実現に向け様々な世界的課題に取り組むことが、次代を担う皆さんの使命なのです。そのような使命感とキラキラと輝く瞳を持った君たちを、私たちは応援しています。
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